みなさん、「態癖」ってご存知ですか?
- 思はぬ態癖がお子さんの歯並びや発育をゆがめることがあります。
普段、何気なく無意識に行っている癖が、歯を動かしたり、顎や顔、
さらには全身に大きな影響を及ぼす習慣を態癖と言います。
全身に・・・?
怖い響きですね。。
でも、よく下唇を咬んでしまう癖があると、上の前歯が出てきたり、
よく頬杖をつく、うつぶせ寝をする等をしていると、奥の歯並びがせまくなったり、
歯が内側に倒れてきたりします。
また顎が左右へずれたり、下の顎が後ろにずれて、かみ合わせが悪くなったりします。
特に気を付けてあげないといけないのが、成長発育期のお子さんです。
食事中にテレビを見ながら、横を向いて食べてる、、なんてこと、ありませんか?
片咬みになって、顎のズレにつながることもあります。
このようなアンバランスのままで、骨の成長期を迎えると、
成人になって顔や顎のゆがみに結びつくことがあります。
顎がゆがむと、バランスを補うために姿勢がゆがみます。
姿勢のゆがみは、将来様々な全身症状を引き起こすかもしれません。
この度、小学校の学校歯科医に着任させていただいたり、
普段の診療でもお子さんのお口に関わらせていただく中で、
特にそんなお子さんの態癖が気になることが増えたなと思います。
- この夏をきっかけに、お子さんにそういった態癖がないか見つけてみませんか。
キーワードは〝気づくこと″
どんな癖も本人は無意識にやってしまいます。
まずはそれに気づくことが大切です。
いつ、どこで、何をしているときに、その癖をしてしまうのか。
最初は周囲の人がそれを見つけてあげてください。
そしてそれを指摘して、本人に気づかせてあげてください。
本人が気づき、次からはそれをしないよう気をつける。
もしいつも同じタイミング、同じ場所でしてしまうなら、
その場所に何か目印を付けるのも1つの方法です。
例えば、いつもテレビを見ている時にお口がポカンと開いてしまうなら、
テレビの画面に「口を閉じる」と書いた大きめの付箋を貼ったりするのも有効です。
ただ、言葉で書くのは簡単ですが、実際はそううまくはいきません。
どれだけ周囲の人が指摘しても、何回も繰り返してしまうのが癖というものです。
何回も指摘しているうちに、お子さんの機嫌を損ねてしまったり、
指摘する側も疲れて言うのを止めてしまうこともあると思います。
こればっかりは、秘密の魔法的なものはありません。
根気よく、言い方、タイミングを工夫しながら、
お子さんの気持ちに寄り添って、焦らずゆっくりアプローチすることが大切です。
例えば、指しゃぶりをずっと止められないお子さんに対して、
「指しゃぶりやめなさい!」と言うより、
「悪いのは〇〇ちゃんじゃなくて、勝手に口に入ってくるこの指が悪いのよ」
と言ってあげることで、お子さんの気持ちも楽になるでしょう。
- それでもお子さんの態癖を完全に無くすことはとても大変です。
結果的に歯並びが悪くなってしまったとしても、
「やるだけのことはやった。しょうがない。矯正すればいい。」
「これも個性だから受け入れよう、虫歯にならないよう気を付ければいいよ。」
というように明るくやり過ごす心のゆとりを持つことも必要と思います。